お金の博物館「貨幣博物館」ってどんなところ?

硬貨

日本の中央銀行内にあるミュージアム

日銀に付属する建物の2Fに設置された様々な珍しいコインなどを展示する銀行内のミュージアムで、日銀設立100年を飾るイベントとして企画され、昭和60年にオープンしたミュージアムです。
開館当初は、年間をとおした博物館への来館者数は約2万人前後で推移していたのですが、近年は、日銀の金融緩和などの政策が注目されたこともあり、お金に対する関心も高まり、年間10万人もの来館者が訪れています。

さすがに国内でここまでの貨幣をコレクションしている博物館はなく、やはり日本の中央銀行だからこそなせる業ですね。
単に貨幣の収集のみならず、それにまつわる歴史的、文化的な背景の資料までも収集・保存し、展示しています。
館内に展示されるものには、まず1つ目に古代から現在までの貨幣が使われるようになった「日本の貨幣史」、2つ目に世界の貨幣や紙幣のコレクションを展示し紹介する「様々な貨幣」、3つ目に「テーマ展示コーナー」に大きく分けられています。
陳列されたものの中には、遺跡の発掘調査中に出土した学術的な価値のある貨幣や各種記念貨幣など珍しいものが順路ごとに約4000点もコレクション・展示されています。

また、テーマ展示では1万円で1億円分のお札の重量を体感するコーナーもあり、二度と持つことがないであろう重さの実感を得ることが出来ます。
陳列されている貨幣は、日本銀行が独自にコレクションを続けてきた日本や海外の貨幣に加え、民間コレクターから寄贈を受けたコレクションが元にされています。

展示のコアな部分田中啓文氏の収集品

この博物館におさめられている貨幣のコアなすのは、古い貨幣の収集・研究で有名な故・田中啓文氏がコレクトした「銭幣」です。
この展示は、日本の古代から近代に至る貨幣のみならず、中国をメインとする東部アジアの貨幣やその歴史にまつわる幅広い文献・資料を収集したものです。

これらの資料を田中氏が展示・保管していたのは「銭幣館」という施設だったのですが、昭和19年、第2次世界大戦の戦火による焼失から免れるために、日本銀行に寄贈された経緯があります。

貨幣の収集や貨幣の歴史を研究する意義

この博物館では、国内における貨幣の造幣の歴史に関する資料の展示を通して、おカネの性質、おカネの誕生の経緯、流通の経緯、そしてお金の価値の安定化の重要性や各国における中央銀行の意義を考える材料を提供してくれます。

実は以外におカネの仕組みは知られておらず、多くの人は自分の給料や生活費といった程度しかお金の認識がありません。
急に物価が上下しないのはなぜか、日銀がたくさんお札を刷って世の中にばらまいたらなぜいけないのかなど、説明できない方は多いと思われます。
単なるコインのコレクションと考えて見学するのではなく、おカネの仕組みの勉強と思って訪れると為になることは多くありそうです。