沈まない硬貨?1円玉が水に浮く理由

水

軽いとはいえ原料の金属は水より重い

大変軽い硬貨とはいえ、やはり材料は金属であるため、物質としてみた場合、原料のアルミニウムの密度は、1立方センチメートル当たり約2.7グラムです。
これに対して水は、4℃で1立方センチメートル当たり、ほぼ1グラムで、密度としてはアルミニウム、つまり1円玉の方が重いということになります。

だとすれば単純に密度の違いだけを取り上げて、物体が水に浮くのか沈むのかが決定する訳ではなさそうです。
実際に、水の入った容器に1円硬貨を投げ入れると、すぐに沈みます。
1円硬貨を水の表面に浮かべるには、水面に平行となるよう、ゆっくりと慎重に静かに置かなければいけません。
それでは、どうして水より重い1円硬貨が水に浮かぶのか理由を探ってみましょう。

水面に浮かぶ1円硬貨に働く2つの力

まず、水面に1円硬貨が浮くということは、1円硬貨が沈み込み水を排除する水の体積の重さだけ、浮力を受けるという事が言えます。
この理論は鉄でできた船が水に浮かぶのと同様の理屈です。
ただし、船の場合は金属とは異なり、中空なので船を1つの物体と仮定して密度を考えれば水に比べ軽いことは間違いありません。
ところが、1円硬貨の場合はアルミニウムとは言え、金属の塊ですからこの浮力だけでは浮かぶことは出来ません。

浮力の他に、垂直方向に1円硬貨を受かせる相当な力が必要なはずです。
そのもう一つの力は水の表面張力です。
1円硬貨の材料は、アルミニウムで、その表面は、空気中の酸素により酸化されており、酸化アルミニウムにおおわれるので、親水性で元々は水に濡れやすいです。

しかし実際に流通する1円硬貨の多くは濡れやすくはありません。
これは流通過程で1円硬貨の表面に人の皮脂等の油汚れがついて、表面が水をはじく性格に変わっているためです。

2つの力が合わさって水にはじき出されている

1円硬貨を見ずに入れると、重力の力で下に沈もうとしますが、硬貨の体積に相当する水の重さだけ垂直方向に浮力を受け、皮脂などで汚れた1円硬貨であれば、その浮力に加えて1円硬貨を表面張力で水の外部にはじき出そうとします。
特に表面張力は、水銀以外の全ての液体の中で水が一番大きいのです。
1円硬貨が水に浮いている状態で、水の表面張力を低下させる洗剤などの物質を加えると1円硬貨は沈みます。

川面で石が跳ねるのも水の表面張力

河原でペタンコの平らな石を水面に平行になるように低い位置から、回転をかけて投げると、石はすぐに沈まず水で何度か跳ねる様に弾かれ最後に沈みます。
これも水の表面張力により医師がはじかれて起こる現象で、もし川が水ではなく、表面張力が3分の1程度のエタノール、つまりお酒が流れていると仮定すると石は跳ねることなく沈んでしまいます。