貯金箱といえばブタの形なのはどうして?

黒豚

ブタの形の貯金箱は諸外国でも定着

貯金箱といえばブタの形というイメージを持つ方は多いと思いますが、皆さんはどうでしょうか。
小銭(コイン)が入れば形は何でも構わないはずですが、実際に売られているのも、貯金箱の博物館に取集されているのも圧倒的にブタの形が主流なのです。

実は、ブタの形の貯金箱が主流派なのは日本だけでなく諸外国でもスタンダードのようです。
きっと、各国に共通の理由があるはずです。
それでは、関西にある「貯金箱博物館」館長のブタ形貯金箱に関する見解を紹介いたしましょう。

世界最大と言われる尼崎の貯金箱博物館

古代から現代にいたるまで、世界60か国以上、1万点を優に超える貯金箱をコレクションした博物館で、世界的に量だけでなくクオリティも高いと海外からも注目されている貯金箱博物館が尼崎にあります。

この博物館は、尼崎信用金庫が運営する企業博物館で、元々は信用金庫職員が個人的にコレクションしていた貯金箱を元に始められました。
さすが貯金・貯金箱収集が趣味とは銀行職員の鑑ですね!
1984年に設立され、当初は美術商や骨董商からの買い付けがメインでしたが、職員の提供に加えて、得意先の寄贈も増えていったそうです。
当然、相当数のブタの貯金箱もコレクションされており、複製ですが世界最初とされるブタの貯金箱も陳列されます。

ブタの貯金箱の理由に関する館長の研究結果

1つ目の理由は「繁栄の象徴」としてブタが使われたという理由が挙げられます。
ブタは多産の動物で、1回の出産で平均10匹前後の子ブタを産むため、古くから中国や欧州を始め、世界中の各地方で幸運のシンボルとされており、縁起良いモノとして愛されてきました。
おカネが次々に貯まりますようにとの願いも託されているのでしょう。

2つ目の理由は「無駄のない有用性」から使われているとの理由で、ブタは、肉や皮、血、内臓まで使え、「無駄使い」の無い有用性のシンボルとしても大切にされ愛されてきました。
このことから無駄遣いをせずに貯金箱に貯金しようという気持ちを忘れずに、との思いが込められると言います。

3つ目の理由は「ある陶芸作家の勘違い」に由来するというユニークなものです。
中世の頃のヨーロッパには、陶器の原料なるピッグ(Pygg)という良質な土がありました。
ある英国の陶芸職人がピッグ(Pygg=土の種類名)の貯金箱の製作を請け負った際、勘違いしてピッグ(Pig=ブタ)の貯金箱を作ってしまったのですが、客に好評を博して人気が広まったことから、ブタの貯金箱が定番商品になったとされます。

そのほかに、ブタは樽をイメージさせる体形の動物で、小銭が多く入るため貯金箱に最適だという理由が考えられます。
同様の理由で、ゾウなどの貯金箱も作られているようですが、ブタの貯金箱の印象が強いのは、ブタの体形がユニークで貯金箱にピッタリのイメージだからでしょう。