1円玉に書いてある木って何?デザインは誰?

木

意外に知らない1円玉

法律で日本の通貨の単位は「円」と定められ、その最小の貨幣である1円硬貨については意外なことが多いのですが、あまり知られていないことが多いようです。
外形的な話では、重さが1グラムと定められていること、直径は2センチメートルであることが特徴です。

直径は2センチメートルと聞くと意外に大きいと思われる方が多いと思いますが、実験として実際に2センチメートルの円を描いてもらうと、ほぼ2センチメートルの円を描く方が多いのに対し、1円玉を描いてもらうと実際よりも小さく描く方が多いことからもわかります。
1円硬貨の原料のアルミニウムは水より比重が重いにもかかわらず、流通している1円硬貨を静かに水に浮かべると水に浮かぶこともあまり知られてはいません。

また、アルミニウムの相場にも若干影響を受けるとはいえ、製造コストは1円硬貨1枚当たり2~3円と言われます。
1万円札が40円程度とされますので、1円硬貨がいかにコウカ(高価)なものかがわかります。
さらに、どんなにコインマニアが探しても、昭和43年に製造されたモノは見つけられませんが、理由は、前年までの発行過多で、余剰が生じ製造されなかったためです。

製造枚数は毎年定まっているわけではなく財務大臣が状況を勘案して、製造枚数を製造する造幣局へ指示を出します。
消費税の導入時や税率アップの際には多くの硬貨が発行されました。

公募でデザインが選ばれた1円硬貨

硬貨が発行の前年、昭和29年に50円硬貨と同時に初めて一般公募によりデザインが選定されました。
賞金は当時のお金で37,500円の贈呈でしたので、決して少額の賞金ではなく、40日間の公募期間中に約2,500点が応募されたと言います。
その多数の応募の中から、表側は京都府にお住いの中村雅美氏の「若木」をモチーフとしたデザインが選出されて現在に至るまで採用されています。
裏側は大阪府にお住いの高島登二雄氏の数字の「1」のデザインが選出されてこちらも現在も使われています。

数字の1は分かりやすいのですが、「若木」のデザインについては、この木は何?と疑問に思われる方も多いでしょう。
日本の貨幣は6種類があるのですが、表に植物が描かれ硬貨は多く、いずれも日本を象徴する植物で、5円硬貨は稲穂、50円硬貨は菊の花、100円硬貨は桜の花、500円硬貨は桐が描かれます。

ところが、1円硬貨は見れば見るほど特定の植物ではなさそうな気もしてきます。
それもそのはずで、「若木」のデザインのモチーフとなった植物は特になく、若々しく将来の希望をイメージさせてくれると言う理由で選出されたそうです。

作者の中村雅美氏も特定の木をモデルとしたデザインではなく、「若木」と言う印象を具現化したものだと語っています。
日本の紙幣デザインは世界的にレベルが高いと評価されますが、1円硬貨も劣らずとてもシンプルなデザインで飽きの来ないものであるために長く変更されていないのでしょう。